ところてんの原料「天草(テングサ)」について、あなたはどれくらい知っていますか?
知れば知るほど奥深い、ところてんの世界。
静岡県清水町で150年の歴史があるところてん専門店『伊豆河童』が、ところてんの原料テングサについて徹底解説していきます。
ところてんとは?
ところてんの原料は海藻である天草(テングサ)。
その天草を水と一緒に煮て、煮汁を漉し、型に流し込んで、固まったものを「ところてん突き」で細く突き出したものが、ところてんです。
詳しくは、伊豆河童ブログ「ところてんとは、そもそも何か?意外と知らない「ところてんと寒天の違い」やところてんの歴史を解説!」でご紹介しています
天草(テングサ)とは
ところてんの原料となる天草(テングサ)。
テングサとは海藻のことなのですが、紅藻類テングサ目テングサ科に属していて
煮出すとゼリー状の寒天質を抽出できる海藻のことを全てテングサと呼んでいるんです。
テングサ漁の解禁は4月ですが、4月はまだ少し海水温が低いため、5月ごろからテングサ漁が本格化していきます。テングサの種類・収穫したエリア・天日干しの仕方などによって、仕上がりに違いが生まれます。
天草(テングサ)の種類
ところてんの原料であるテングサには、様々な種類があります。
ここでは、テングサの種類について詳しく解説していきます。
天草(テングサ)は、紅藻類テングサ目テングサ科に属している海藻のこと。
テングサ科に所属する海藻は約30ほどの種類がありますが、
代表的なものを表にすると以下の通り
一般名 | 属名 | 学名 |
マクサ | テングサ属 | Gelidium elegans |
オニクサ | テングサ属 | Gelidium japonicum |
キヌクサ | テングサ属 | Gelidium linoides |
オオブサ | テングサ属 | Gelidium pacificum |
ナンブグサ | テングサ属 | Gelidium subfastigiatum |
コヒラ | テングサ属 | Gelidium tenue |
ヨレクサ | テングサ属 | Gelidium vagum |
コブサ | テングサ属 | Gelidium yamadae |
オバクサ | オバクサ属 | Pterocladiella tenuis |
ヒラクサ | ヒラクサ属 | Ptilophora subcostata |
ユイキリ | ユイキリ属 | Acanthopeltis japonica |
シマテングサ | シマテングサ属 | Gelidiella acerosa |
ヒメテングサ | ヒメテングサ属 | Gelidium freshwateri |
テングサの産地と収穫量
良質なテングサは、澄んだ海・そして複雑な地形の海岸によって育まれるといわれています。
ほぼ日本全国で取れるテングサですが、収穫される量は太平洋岸のほうが多く、良質とされています。
2023(令和5)年度のテングサの全国生産量は268トン
てんぐさ・寒天の専門店「株式会社 森田商店」の調査による2023年の都道府県別テングサ産出量をまとめると以下の通り
都道府県別にみると以下の通り
都道府県 | 産出量(トン) |
愛媛県 | 49.8 |
静岡県(伊豆) | 43.5 |
東京都(伊豆諸島) | 14.4 |
和歌山県 | 9.9 |
三重県 | 3.8 |
徳島県 | 2.2 |
長崎県 | 1.1 |
高知県 | 0.3 |
日本でのテングサ生産量は2002年が約800トン、2003年が約600トンで、毎年減少傾向にあります。
テングサの育成には、1月から3月の胞子着床時期に水温が13℃~15℃以下で、
4月から6月の生長期に海水温が上昇あることが望ましく、4月~8月の採取時期に良い天候であることが大切だといわれています。
近年の生産量減少は、黒潮の大蛇行や、西日本地域から東海地域での梅雨の長期化による収穫日数の減少などが、全国的な減産の背景として考えられています。
テングサは、韓国・チリ・モロッコなどの外国産も輸入されていて、国産の半額以下で取引がされていますが、品質は国内産のもののほうが優れています。
外国産は主に寒天製造用などに使われることが多いです。
伊豆の高品質なテングサ
ブランド銘柄で高級天草としても知られる伊豆天草。
伊豆半島の沿岸には黒潮が流れ、テングサが育つのに適した水温であることから、全国でも有数のテングサの産地です。
テングサは日の光が届く浅い海(水深30メートルまで)で大きな石に付着して成長します。
昔から「豊かな森林は豊かな海を育む」と言われているだけあり、伊豆エリアの豊かな森林は伊豆の海に窒素やリンなどの栄養分を供給するため、肉厚で上質なテングサが育ちます。
テングサには、浜や磯に流れつく拾い天草の「寄り草」と、海女さんが潜って取る「取り草」の2つがあります。
天草漁は毎年4月に解禁となり、5月頃から本格的な天草漁が始まります。
春から夏にかけて海女さんが潜って手摘みしたテングサは、伊豆の地元の人たちの手によって丁寧に天日干しされ、伊豆のあちこちで紫色の天草の絨毯が広がります。
丁寧な手作業が行われていることも高品質のゆえんです。
伊豆のテングサの生産量は2002年が約202トン、2003年が88トンでしたが、2022年・2023年は約40トンとかなりの減少傾向となり、伊豆産のテングサはより貴重な存在になっています。
伊豆河童のところてん
伊豆河童のところてんは、伊豆産の天草だけを使っています。
粉寒天や天草以外の海藻などは一切使っていません。
伊豆のテングサ100%、昔ながら製法で丁寧に手作りするところてんは、しっかりとした食感とサクッとした歯切れが特徴です。
伊豆には多くの海女さんがいますが、高齢化で年々海女さんの数も少なくなっています。
伊豆河童が伊豆のテングサにこだわるのは、地元・伊豆の海女さんを守りたい!そんな思いも込めています。
おいしいところてん、あります。
創業明治二年「ところてんの伊豆河童」では、伊豆産の天草(テングサ)100%、富士山の湧き水を使った職人手作りのところてんを販売しています。
ところてんのたれは13種類!
酢醤油(二杯酢)、三杯酢、黒蜜、ほうじ茶蜜、わさびドレッシング、梅しそつゆ
胡麻ダレ、抹茶蜜、玄米黒酢、柚子みつ、コーヒーみつ、めんつゆ
白蜜糖、サウナ専用たれ(新登場)をご用意。
全国各地方のところてんの味をご自宅で!旅行気分でお楽しみいただけますよ。
静岡県在住ラジオパーソナリティー&インターネット新聞記者。おいしいものとデジモノが好きです。
伊豆河童店長の「伝統の伊豆ところてんを伝え、伊豆の海女さんを守りたい」という思いに共感し、2022年11月より伊豆河童のよみものを担当。
好きなところてんのたれはほうじ茶蜜。
「ところてんとは、そもそも何か?意外と知らない「ところてんと寒天の違い」やところてんの歴史を解説!」
https://www.tokoroten.co.jp/blog/history/