暑い季節がやってくると食べたくなるところてん。
身近な食べ物ではありますが、ところてんの栄養価について詳しく知っている人は実はそれほど多くないかもしれません。
今回はところてんの栄養やその効果効能について、阿佐ヶ谷姉妹の「あさがや手帖」でも紹介された静岡県清水町にある創業明治二年・ところてん専門店『伊豆河童』が解説していきます。
目次
古くから愛されているところてん
古くは奈良時代から日本で食べられている「ところてん」。
海藻の天草(テングサ)が原料で、夏の季語にも詠まれている涼しげな食材。
地域によって食べ方が違ったり、つけるタレが違ったりと全国津々浦々、ところてんの世界はとっても奥深いんです。
ところてんの栄養
まずはところてんの栄養成分についてご紹介していきます。
ところてんの栄養成分は、ところてん100gあたり
エネルギー2kcal、水分99.1g、タンパク質0.2g、脂質 0g、炭水化物 0.6g、灰分0.1g、ナトリウム3mg、カリウム2mg、カルシウム4mg、マグネシウム4mg、リン1mg、食物繊維0.6mg、鉄0.1mg、ヨウ素240μg、食塩相当量0gです。
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ところてんにはカリウムやカルシウム、鉄分などのミネラルが含まれているほか、食物繊維が100gあたり0.6mg、ヨウ素は240μg含まれています。
ところてんの成分
海藻である天草(テングサ)から作られるところてん。
ところてんの約99%は水分です。
そして、それ以外の残りの成分のほとんどは多糖類(ガラクタン)です。
多糖類(ガラクタン)は、テングサから抽出されたアガロースとアミロペクチンなどで、液体をゼリー状に固めるゲル化剤(凝固剤)です。
ゲル化剤には牛や豚などの骨や皮に含まれる「タンパク質系のゼラチン」と、テングサなどの海藻由来の糖質(多糖類)系のものがあります。
動物由来のゼラチンの主成分はコラーゲン、海藻由来の多糖類の主成分はアガロースやアミロペクチンです。
ところてんの伊豆河童 商品別栄養成分表
https://www.rakuten.ne.jp/gold/i-kappa/smp2/nutrition_r.html
ところてんのカロリー
ところてんの原料は海藻(テングサ)、そして全体の99%が水分なので、ところてん100gあたりのカロリーは2kcal、脂質は0gです。
また、ところてんの炭水化物のうちすべてが食物繊維なので、糖質ゼロ!炭水化物を気にされている方でも大丈夫です。
そしてこの、ところてんの主な栄養素、食物繊維が私たちの体に重要な役割を果たしてくれています。
ところてんに含まれる食物繊維
積極的に摂りたいものの一つに食物繊維があります。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると
食物繊維とは食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質。
整腸作用など身体の中で有用な働きをすることが注目され、第6の栄養素とも言われています。
そんな食物繊維には2種類「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があるのをご存知ですか?
ところてんにはその両方が含まれています。
それぞれの効能は以下の通り
「水溶性食物繊維」・・・ 便通改善。腸内環境改善。コレステロール値低下。食後血糖値の上昇を抑える。
「不溶性食物繊維」・・・腸内環境を正常化。腸のぜん動運動を活発にする。便秘解消。水分を吸収し膨らみ大腸まで届く。
不溶性食物繊維は水分を吸収するので、水分と一緒に摂ることが大切ですが、ところてんは約99%が水分なので両方を同時に摂ることができます。
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」どちらも含むところてんを食べることによって、腸内環境を整える『腸活』にも繋がっていきます。
ところてんの効果①お通じを良くする
それではここからは、ところてんの効果について一つずつ見ていきましょう。
まずは整腸作用について、ご紹介してきます。
全体の約99%が水分で「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の両方を含んでいるところてんを積極的に食べることで、お通じを良くしてくれます。
腸のぜん動運動が活発になることで、便が大腸を通過する時間が短縮され便通が良くなります。
不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨らんで、腸内で便のかさ増しをするため、腸内の老廃物や宿便などを排出し、腸内環境が整っていきます。
腸の環境を良くしていくことで、日本人死亡原因のトップともいわれている大腸がんの予防にも繋がります。
ところてんの効果②血流を良くして生活習慣病予防
ところてんにも含まれている食物繊維は、「日本人の食事摂取基準」で積極的に摂ることが推奨されています。
厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりの食物繊維摂取の目標量は18歳~64歳の男性で21g以上、女性が18g以上とされています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会 日本人の食事摂取基準(2020年版)
この基準は5年に1度改訂されていて、2024年3月に厚生労働省の検討会が開かれました。
2025年度から適用される「日本人の食事摂取基準」の案では、食物繊維を多くとるほどがんや糖尿病などの生活習慣病の発症率が低くなることが最新の研究で明らかになったとして、成人の食物繊維の理想の摂取量が、1日25gに設定されました。
ところてんに含まれる水溶性食物繊維は腸の中で糖質を包みながら移動するので、糖質の吸収スピードを緩やかにしてくれます。食前にところてんを食べることによって、糖質の吸収スピードを下げ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防に役立ちます。
ところてんの効果③血管の老化予防
脂っこい食べ物を食べたり、運動不足だったりすると、血管の老化や血管の壁が厚くなるなどして血流が悪くなってしまいます。
それらを防ぎ、動脈硬化を改善する食材として、ところてんが注目されています。
福岡県久留米市にある「真島消化器科クリニック」の院長:真島康雄先生の著書「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因 動脈硬化は自分で直せる」(幻冬舎)によると
・原料に通常の2倍近くの天草(テングサ)を使用している
・100g当たりの成分=炭水化物1.2g以上、糖質0.1g以上、脂質0.1g以上
の条件をクリアした高品質なところてんを毎日150g(理想は毎日260g以上)食べると、血管プラーク(動脈硬化)が少しずつ改善していくとあります。
5800人以上の患者さんの血管エコー(超音波)検査と食事調査を行い、血管プラークの分析や研究をしてきた真島先生は、処方としてもところてんを薦めています。
血管内の油汚れ「血管プラーク」を減らしていくためには、毎日コツコツと冬でもところてんを食べることによって、確実に成果が出てくるようです。
ところてんの効果④ダイエット
食前にところてんを食べると、お腹の中で食物繊維が膨らみ、満腹中枢が刺激されるので、食べ過ぎを防いでくれる効果があります。
ところてん100gあたりのカロリーは2kcalでとっても低カロリーなので、カロリーコントロールもしやすいです。
腹持ちがよく、血糖値の急上昇を抑えるところてんはダイエットとしての成果も見込める優秀な食材です。
まとめ
・ところてんの原料は海藻である天草(テングサ)
・ところてんにはカリウムやカルシウム、鉄分などのミネラルや食物繊維が含まれている
・ところてんの99%は水分
・100gあたりのカロリーは2kcal、脂質は0g
・便秘解消、糖尿病、高血圧、動脈硬化予防などに効果があるところてん
・カロリーコントロールができダイエットにも良い
おいしいところてん、あります。
今回は、ところてんの栄養や効果効能について解説しました。
いかがでしたでしょうか?
創業明治二年「ところてんの伊豆河童」が作るところてんは、伊豆産の天草100%、富士山の湧き水を使った職人手作りのところてんを販売しています。
伊豆の海女さんが手摘みした天草を通常の2倍使用、富士山の雪解け水をふんだんに使った伊豆河童の本格ところてん。
健康のためにどうぞ毎日の食卓に!
静岡県在住ラジオパーソナリティー&インターネット新聞記者。おいしいものとデジモノが好きです。
伊豆河童店長の「伝統の伊豆ところてんを伝え、伊豆の海女さんを守りたい」という思いに共感し、2022年11月より伊豆河童のよみものを担当。
好きなところてんのたれはほうじ茶蜜。
日本列島ところてん食べ方分布【とこマップ】
https://izukappa.com/tokomap/