磯の香りをほんのり感じる、天草(テングサ)から作られたところてん。
ところてんの作り方は思うほど難しくありません。伊豆産の天草を100%使って作るところてんのおいしさは格別です。
静岡県清水町で150年の歴史があるところてん専門店『伊豆河童』が、簡単でおいしいところてんの作り方をご紹介します。
ところてんの原料
皆さんはところてんの原料について、ご存知ですか?まずはところてんの原料についてご紹介します。
ところてんの原料は海藻である天草(テングサ)。
ほぼ全国で採ることことができる天草ですが、伊豆は日本でも有数の天草の産地。伊豆半島で海女さんが手摘みで丁寧に採取する天草は最高級の優良天草として取り扱われています。
ところてんの作り方
ところてんの原料:天草についての知識が深まったところで、早速ところてんの作り方をご紹介していきます。
作り方はとっても簡単!いたってシンプルです。
お料理がちょっと苦手という方も、ぜひチャレンジしてみてください。理科の実験みたいに楽しいですよ。
<材料>(6〜8人分)
天草(テングサ): 50g
酢:大さじ1
水:2.5リットル
1
天草(テングサ)を水につけ、よく揉み洗いして水気を切る。
(もみ洗いすることでごみや砂、小さな貝殻などを取り除きます)
2
鍋の中に水2.5リットルと洗った天草をいれて火にかけます。強火で加熱し、泡が立って沸騰してきたら中火にして酢を入れる。(酢を入れることで天草が早く煮溶けます)
約30分、ふきこぼれないようにしながら天草が「どろり」とするまで煮る。
お湯が静かに対流する火加減で。
ボコボコ沸騰しすぎはNG、お湯が静かすぎてもNG。途中で鍋の様子を見ながら火加減を調節してください。
3
天草がどろりとしてきたら火を止めて、ザルにキッチンペーパーまたは濾し布を敷いて煮立った天草を濾す。煮汁を絞る時は、熱いのでヤケドなどに注意してください。
しっかりぎゅっと絞りましょう。
海藻の香りがふわっと、いい香りです。
4
濾した液をバットに流し、常温で冷やし固める。
粗熱がとれて表面が固まってきたら冷蔵庫で1時間程度しっかり冷やす。
5
天突き棒に入る大きさに切り分ける。
ところてん突きの幅にあわせて切ってくださいね。
6
ところてん突きでところてんを押し出します。
ところてんを突く体験はお子さんだけでなく、大人も楽しくついついはしゃいでしまいます。
7
酢醤油、白ゴマ、青のりをかけて辛子を添えたら完成。
関西風に黒蜜でいただくのもおすすめです。
ところてん工場ではどうやって作ってる?
伊豆河童のところてんの原料
創業明治2年、ところてんの伊豆河童では伊豆産100%の天草を原料に使っています。
他の種類の海藻を使ったり、伊豆産以外の天草を使ったりしないことが伊豆河童のこだわり。
一般の天草より価格が約2倍する伊豆産天草。
海女さんが海に潜って手摘みする天草は「沖草」と呼ばれ、高級天草として知られています。
コストはかかりますが、(伊豆の海女さんを守りたい。)この思いから、伊豆河童は伊豆産天草にこだわったところてん作りを続けています。
通常の2倍の量の天草を使い、3〜4種類の天草を独自の配合でブレンド。これにより他にはない弾力と歯応えのいいところてんが出来上がります。
昔ながらの伝統製法
選び抜いた天草を、約6時間トロ火でじっくりと煮るのが伊豆河童の作り方。
名水百選にも選ばれている富士山の雪解け水:柿田川の湧水で丁寧に煮溶かします。
工場の中は蒸気が充満し、暑さとの戦い。特に夏場の作業は、体力と根気が必要です。
搾り出しも手作業で
じっくりと時間をかけて煮溶かした液体を搾り出す作業も手作業で行います。布で3回濾して滑らかにします。その後、型に流し込み、常温で自然冷却します。急激に冷却するとムラが生じてしまうので、時間はかかりますがゆっくり自然冷却することで、ムラや濁りのないところてんに仕上がります。
ところてんはヘルシー
海藻である天草から作られるところてんにはミネラルや食物繊維が豊富に含まれています。
海藻が原料なので、ほとんどカロリーが含まれていません。
そして「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」、両方の食物繊維を含んでいるので、腸内環境を整え糖尿病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも役立ちます。
便秘解消、ダイエット、そして毎日の健康維持のためにも、楽しくところてんを食べてみるのはいかがでしょうか?
まとめ
天草・お酢・水だけで作ることができるところてん。
手作りの楽しさ、おいしさをぜひ体験してみてはいかがでしょうか?
伊豆産の天草を使って作る無添加のところてん。
突き立てのおいしさをお楽しみください。
静岡県在住ラジオパーソナリティー&インターネット新聞記者。おいしいものとデジモノが好きです。
伊豆河童店長の「伝統の伊豆ところてんを伝え、伊豆の海女さんを守りたい」という思いに共感し、2022年11月より伊豆河童のよみものを担当。
好きなところてんのたれはほうじ茶蜜。
https://www.tokoroten.co.jp/f/izutengusa